暖かい一日でしたね。
気持ちの良い火曜日は、『美味しい』という概念について考えてみたいと思います。
それを語るには、この店しかありません。
食事処 たつ味栃木県宇都宮市石井町2495
028-661-6970
旧石井街道の鬼怒川付近、加藤釣具店に隣接するこちらのお店『食事処 たつ味』。
今回、この店が私たちに『食の原点』を語りかけてくれるのです。

木漏れ日が注がれる店内。
太陽の温かさと、木の温もり・・・これから食事をするにあたり、最高の環境を提供しています。
いらっしゃいそんなシンプルな言葉が、何故か心に響く・・・不思議ですよね?

何だか美味しいカツ重が食べたくなりました。
今回の注文は『カツ重 御飯大盛り』で決まり。
鬼怒川の写真を撮りに来たのかい?声を掛けてくれたのはお店のオジチャン。非常に陽気で温かい。
小さな一声から始まる会話 - 『美味しい』料理というのは、既にここから始まっているのです。
厨房からは料理をクリエイトする音が聞こえてきます。
ドンドンドン・・・。 [肉を叩く音]
カチャカチャ・・・。 [卵を溶く音]
ジュゥワァァ・・・。 [カツを揚げる音]
グツグツグツ・・・。 [卵でとじる音]
当たり前の音が、当たり前の順番で聞こえてくる。
悲しいことだが最近では珍しくなってしまった。
当たり前の料理を作る店が少なくなってしまった最近、私達は人間が作っていない料理を食べる機会が増えました。
工場で作ったものを温めるだけの料理。
一部チェーン店で採用している「チャーハンを作る機械」を見た時は涙がこぼれました。
いつから日本の料理はアルバイトが温めるだけのものに変わってしまったのでしょうか。
そんなことを考えているうちに、本日も出会いの時が訪れました。

カツ重大盛り - これは人間が、当たり前のプロセスで作り上げた料理です。
工場生産のカツを温めたわけでも、カツ丼製造機を使ったわけでもありません。

良い意味で「普通」。
何の斬新なテクニックも、高級な素材も使っていない・・・普通のカツ重。
間違ってはいけない!世の中には「高級黒豚使用!」とか、高級素材を売り物にした宣伝が見受けられます。
でもね・・・それは「美味しい料理」を保障することにはならないのです。
カバンを考えてみましょう。
「高級クロコダイル」を使ったカバンが、必ずしも使いやすいとは限らない。
物を収納して持ち運ぶといった機能面において優れているか否かは、素材だけでは決まらないのです。
料理だって同じです。
美味しい!当たり前です - 人間が「心」を込めて作った料理なのですから。
アルバイトが時間を切り売りして温めた適当な料理とは根底から異なるのです。

人間が当たり前のプロセスで作り上げたカツの断面をご覧ください。
これは数日前に掲載した工場生産品とは決定的に違うビジュアルなのです。
例え、工場生産品が原材料として「高級黒豚」を使っていたとしても。
オバチャンがちゃんと作ったカツにはかなわない。
ごちそうさまでしたこの「ごちそうさまでした」という言葉も、徐々に意味が変わってきています。
「お勘定」を促す言葉として使っていませんか?
挨拶は心を音で表現したものなのです。
チェーン店が朝礼後に「いらっしゃいませ」を練習するなんてもってのほか。
料理は舌だけで味わう刺激ではないのです視覚情報、雰囲気、温度、そして『心』。
全ての要素が創り出す感覚こそが『美味しい』という概念。
食事処 たつ味食の原点を語りかけてくれる貴重なお店です。
本当の意味で「美味しい」料理が食べたい時にはお勧めのお店です。
