大笹牧場からの帰り道。
日光街道を走っていた栃木ハンターは、何の前触れも無く、急にハンドルを切る。
家族は「いつもの痴呆症」だと思い込み、特に驚きはしない。
ふふっ、違うゼ。
この時、栃木ハンターは路地裏に『一流』を感じ取っていたのです。
こだま食堂栃木県日光市今市414
0288-21-2165
普通に車で走っていたら、ここが店だとは気づくまい。
小さな看板、入り口の暖簾だけが食堂であることを主張している。
早速内部にエントリー!

エアコンは究極のエコモード = 停止している!
窓は全開!しまったぁ・・・栃木ハンターの脳裏に『
はせ川食堂』の悪夢が蘇る。
恐怖で震えが止まらない・・・。
トイレに行くふりをして、あの入り口からエスケープしようか。
暑くてごめんねカウンターの奥から、優しそうなお婆ちゃんが申し訳なさそうに呟く。
あっ・・・「暑くないですから大丈夫です」。私は咄嗟にそう答える。
暖かいぬくもり。
この店は、お爺ちゃんとお婆ちゃんが営む小さな食堂。

さぁ!注文を選びま・・・ぬぅおぉ!安い!
それでは注文は『とんかつ定食(うどん付き)600円』でお願いします。
麦茶を出すお婆ちゃん。
再び「暑くてごめんね」と言いながら、テーブルに落ちた雫をテッシュでそっと拭き取る。
懐かしい優しさを感じる - これは一体何だ?
記憶の奥に眠る優しく温かい記憶。
お母ちゃん!!!幼き栃木ハンターに、絶対的な愛情で接してくれた母を思い出した瞬間。
その姿と重なり合うように、再びお婆ちゃんが登場。
「はぁい!お待たせしました。」

こちらが『とんかつ定食(うどん付き)600円』です。
本当に600円でいいのか?目を疑うようなビジュアル。

もちろん、専門店のそれと比べたら、コロモはシンプル、肉だって薄い。
でも、新鮮なパン粉と揚げたての香りが、栃木ハンターの心に届く。
いただきます。

食した瞬間、涙が溢れました - 美味しい!美味しいよぉ~。
小さい頃、お母ちゃんが作ってくれたトンカツの味。
文句と悪態しかつかなかった若き栃木ハンターに、いつも温かい御飯を作ってくれた母。
『ありがとう』って、言えるうちに言っておけば良かった。
もう二度と会えない母を思い、涙ながらにトンカツを食す。

そして、セットの「うどん」。
もちろん手打ちでも、コダワリの麺でもありません。そりゃぁ、600円のセットですから。
でも、見て欲しいのは上に乗っている「みょうが」。
限られたコストの中で、客に満足してもらうための工夫。

ポタッ・・・(大粒の涙)。
うぅえぇぇぇん(涙)、美味しいよぉ~、美味しいよぉ~。
夢中で食し、ツユの一滴まで飲み干しました。
ありがとうこの店に贈りたいのは「ごちそうさまでした」だけではありません。
『ありがとう』- 母に言えなかった言葉を聞いてください。
記憶の中で微笑む母。
栃木ハンターはもう、当時のあなたの年齢を超えてしまいました。
ありがとう。
こだま食堂 (定食・食堂 / 今市駅、下今市駅、上今市駅)
昼総合点★★★★★ 5.0
純粋な「味」としては、★5は言い過ぎだと思います。
でも、栃木ハンターだって「人の子」です。
こんな素晴らしい店に、★5以外を付けることなんて出来ません。