常磐炭田を追った2日間 No.5(最終話) 八茎鉱山

No.4からの続き。

常磐炭田ハント - 最後のターゲットは『八茎鉱山』。
いわき市四倉町に位置するスカルン鉱床で、石灰石および砕石の採掘が行われていた施設です。

こちらの写真を御覧ください。

八茎鉱山

規模が大きいでしょう?
実は、既に一部解体が始まっているという噂を聞き、何としても壊される前に見ておきたかったのです。

ノスタルジックの生存期間は有限。
一度消えてしまえば、もう二度と会うことはできないのです。
そう、足尾の製錬所のように・・・。

残された時間が短いことは、誰の目にも明らかだった。
だから走った!

しかし・・・

八茎鉱山

目の前に現れたのはあまりにも寂しい光景。
解体作業は既に終わっていたのです。

八茎鉱山

嘘だろう!
あまりの悲しみと絶望感、襲いかかる脱帽感で言葉も出ない・・・。

基礎を見るだけでも、その規模の大きさが強烈に伝わってきます。
これがもし、解体される前だったら・・・。
もう二度と会えないことはわかっていても、そんなことを考えずにはいられません。

八茎鉱山

ここを勢いよく流れる石灰石。
まさに圧巻の風景だったのでしょうね。

八茎鉱山

むき出しになった鉄筋が、妙に寂しそうに見える。
君は今、何を見ているんだ?

八茎鉱山

視線の先には、昔から何も変わっていないような山々の姿が。
そうか、自分自身の姿は大きく変わっても、ここからの風景は何も変わっていないんだね。

八茎鉱山

置き去りにされた男達の道具が、栃木ハンターに語りかける。
『寂しい』と・・・。

私だって、私だって寂しい。

八茎鉱山

止まった時の流れ。
ここの時間は止まっている・・・1992年の新聞紙。
エネルギー革命に呑まれた鉱山が、奇しくも新しい時代のエネルギー『太陽光発電』を見ていたんですね。

グズッ・・・寂しい。
どうしても、もう一度だけ、この八茎鉱山が解体される前の姿を見てみたい!!!

八茎鉱山

そうだ!私には特殊能力があったのです!
それは『ノスタルジックパワー』。

プロのハンターは、悲しみをエネルギーに変え、ほんの少しだけ時間と空間を歪ませることができるのです。
今でもできるかな?

この年老いた体でも、あのパワーが使えるのか?
結果はわからないけど、取るべき道は一つ!!!

八茎鉱山

スッ・・・。
気持ちを落ち着け、気を集中する。

ノスタルジックパワー全開!戻れ!八茎鉱山よ!!!







ゴンッ、ゴンッ、ガガガガガ・・・


聞こえる!
これは、八茎鉱山が稼働中の音!

目を開けると、そこには信じられない風景が広がっていたのです。

八茎鉱山

おぉ!稼働中の八茎鉱山!!!
スゴイ規模だぁ~!
もう少しジックリと見てみましょう!

・・・しかし、パワーは長時間は続かなかった。

八茎鉱山

あっという間に風景は元に戻り、時の流れも空間も現在に戻ってしまったのです。
もう私は、現役のノスタルジックハンターでは無いということでしょうか。

でも、一瞬だけだったけど、八茎鉱山の姿を見れた!
それだけで満足。

さようなら、ありがとう!八茎鉱山、そして常磐炭田。

私達の旅の記録はこれで終わりです。
2日間だったけど、充実したハントでした。
"ノスタルジックの生存期間は有限"、それをまた強く感じる結果となりました。

次はどんなノスタルジックをハントしましょうか!
今から楽しみでなりません。

* * *

さて、今回のシリーズはいかがでしたか?
えっ?廃墟ばかりで退屈だった? ・・・う~ん、そうかも知れませんね(笑)。

でも、また懲りずに廃墟シリーズを書きますよ!
乞うご期待!!!

アニョン!
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2012年02月10日 | 「未分類」の記事一覧

常磐炭田を追った2日間 No.4 長屋/相撲場

No.3からの続き。

鉱山の歴史なんて、人類の時の流れの中ではほんの一瞬の出来事。
瞬きをするくらいの時間だったのかも知れない。

常磐炭田

常に変わりゆく時の中では、だた一つの歴史に過ぎないのかも知れません。
しかし、たった一つだけ変わらないものがあったのです。
それは・・・。

常磐炭田 宮沢団地

男達が家族のために生きたということ。
家族を守るために、幸せに暮らすために、ここで生きたということ。

常磐炭田 宮沢団地

そんな暮らしの舞台がこの長屋。
文字通りひとつ屋根の下で数家族が暮らしていた。

常磐炭田 宮沢団地

もちろん、トイレだって共同。
それでいいのです。

これこそが現代の人々が忘れてしまった本来の暮らし。
常にご近所で顔を合わす共同生活。
何気なく支えあって生きていたのです。

常磐炭田 宮沢団地

『おかえりなさい』。
確かにそんな声が聞こえたような気がしました。

さて、長屋で疲れを癒したら、次は娯楽でしょう!
ここ湯本には様々な娯楽施設が存在したようです。
その中でも大人気だったのが『相撲』。

常磐炭田 相撲場

さぁ!仲間を誘って内郷神社に集合です。
もうみんな集まっているかな?

常磐炭田 相撲場

到着!こちらが『相撲場』です。
ローマの円形劇場(コロシアム)を彷彿させるような観客席まである相撲場。
力自慢の炭鉱マンがこの場所でぶつかり合うのです。

常磐炭田 相撲場

もうみんな集まっていますね!
相撲場内は炭鉱マンの声援、ざわめき - 熱気ムンムンです。

常磐炭田 相撲場

ぶつかり合う肉体!イケー!ソコダー!
流石は日中に炭鉱で鍛えた肉体です、どちらも簡単には譲りません。
戦いが長引けば長引くほど興奮する場内。

楽しい!
気がつけば、その場所で一緒に騒いでいる栃木ハンターの姿が。
次は私も挑戦してみようかな。
このハントで鍛えた体で戦いを挑んでみましょう。 行くぞ!!!

常磐炭田

ファァ・・・ン、ガタゴト。

夢?瞬きをするくらいの時間だったのかも知れない。
でも、私は確かに感じたのです。
炭鉱マンと一緒に騒ぐ自分の姿を。

沢山の出会い、思い出を胸に、私たちは内郷・湯本地区を後にした。
新たなる出会いを求めて。

No.5(最終話)に続く

* * *

その後、足尾でも有名だった古河財閥系炭鉱は早々と昭和39年に閉山。
様々な事業を持っている財閥ならではの決断でしょう。
炭鉱マンは別の仕事に配置転換されたそうです。

しかし、常磐炭砿には石炭しか事業が無かった。
古河のように労働者を炭鉱以外に配置転換することができなかったのです。

フラガール

そう!彼らは炭鉱で大きな障害であったはずの温泉事業に転換を決めたのです。
約5,000人とも言われた労働者達は、閉山までにほぼ100%配置転換に成功したということです。

いかがですか?
皆様もTSUTAYAテクノ店に行って「フラガール」のDVDを借りて見てみましょう。
背景にあったのはそんな事情だったのです。

2012年02月06日 | 「観光 - 福島県」の記事一覧

常磐炭田を追った2日間 No.3 住吉一坑 坑口/扇風機上屋

No.2からの続き。

中央選炭工場は「地下の採炭現場と一体化」したシステムであったことは説明しましたね。
それでは選炭工場のさらに上部はどうなっているのか?
そんな疑問を解決に向かいました。

常磐炭田 住吉一坑 坑口/扇風機上屋

これが当時の写真です。
坑口は左右2箇所、レールが引かれておりトロッコが走っています。

現在の姿はどうなっているか?
これが今の姿、かろうじて原型を残す程度です。

常磐炭田 住吉一坑 坑口/扇風機上屋

上の写真と見比べて、イメージを沸かせてください。

常磐炭田は「斜鉱」と言われる斜めに掘り進むタイプの炭鉱。
左側坑口は石炭や資材を運ぶ「本卸」、右側坑口は坑夫等人間を運ぶ「連卸」です。

常磐炭田 住吉一坑 坑口/扇風機上屋

坑口が塞がれているのは、メタンガスの発生を止めるための措置。
炭鉱ではメタンガスの発生が避けれらないのです。
残念、坑道の中が見たかったなぁ。

常磐炭田 住吉一坑 坑口/扇風機上屋

そして坑口の上に見えるのが「扇風機上屋」という設備。
坑内の空気を排出し、内部を負圧にすることにより、坑道内に空気を送り込んだもの。

常磐炭田 住吉一坑 坑口/扇風機上屋

よく見ると、レンガ造りのモダンな建物です。
レンガという強固な材料で造られたから、今も残っていてくれたのでしょうね。
これが木造だったら・・・私がここで出会うことは無かったに違いない。

常磐炭田 住吉一坑 坑口/扇風機上屋

内部には巨大な扇風機が2機設置されていたとのこと。
かなりの勢いで周り、坑内の負圧を保っていたのでしょう。

常磐炭田 住吉一坑 坑口/扇風機上屋

扇風機上屋を横から見たところ。
斜鉱に沿うように斜めになっています。

常磐炭田 住吉一坑 坑口/扇風機上屋

垂直な建物と、斜めの坑道を繋ぐテクニックがこちら。
上手に造っていますね!

常磐炭田 住吉一坑 坑口/扇風機上屋

さてこの常磐炭砿、素晴らしい設備の数々ですが、実は坑道内部での作業はかなり過酷であったようです。
ご存知のように、このエリアは温泉地。
1tの石炭を採取するために、40tの温泉が吹き出したと言われています。
当然、坑道内は高温多湿、鉱夫は全員上半身裸で作業にあたっていたとのこと。

常磐炭田 住吉一坑 坑口/扇風機上屋

基幹産業を支えた男達は、決して楽ではなかったのだ。
感謝しなくてはなりませんね。


次回はそんな鉱夫達の生活の場、そして娯楽施設をご紹介しましょう。
No.4に続く。
2012年02月06日 | 「観光 - 福島県」の記事一覧
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栃木ハンター

栃木ハンターと申します。
中身は60代のオジイチャン。
機械のように正確で、花のように美しいハントリザルトをお届けできるよう頑張りたいと思っています。

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老兵は去りゆくのみです。


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